- 公開日2022/11/16
- 最終更新日2022/11/16
算数と数学の違いは「考え方」?違いやそれぞれの特徴について解説
「中学生の数学って、算数より難しくなるの?」
「算数は好きだったのに、数学になると苦手になってしまった。」
子どもが中学の数学についていけるか、不安な保護者は多いのではないでしょうか。
この記事では、算数と数学の違いや苦手意識をなくすポイントについて紹介しています。本記事を読むことで、算数と数学の違いをしっかり理解して、苦手にならずに取り組むことができるでしょう。
これから数学を勉強する子ども、すでに数学を始めていて苦手になってしまっている子どもをもつ保護者の方は、是非参考にしてください。
算数と数学は「考え方」が違う
算数と数学の違いは、解答とプロセスのどちらを重視するかでしょう。算数は実用的な計算で正確な答えを導き出すことが目的で、数学は「なぜそうなるのか」を数字や記号を用いて、論理的に説明することが目的になります。
例えば、算数は個数や距離など具体的な場面が想定されていて、計算や算数の力を使って答えを出すといった内容です。一方で数学は、証明問題など、答えよりも数学の世界のルールを知って、ルール通りに進んで答えにたどり着く過程を重視する内容になっています。
算数とは
算数は、基本的な計算方法、図形の面積や体積、重さや長さなどについて学ぶ教科です。数を使って「正しい答えを導き出す」ことが目的になります。例えば、買い物や時間の計算など、普段の生活に密接に関わっていることが特徴です。
学習内容
基本的に、算数の学習内容は「数」「計算」「図形」「量」「関数・統計」の5項目に分かれています。
「数」は、少数、分数、偶数と奇数、比など、数の構成や表し方について学びます。例えば、個数や順番の数え方、簡単な分数の表し方、億や兆の大きな数などです。
「計算」では、四則演算、ひっ算、電卓やそろばん、等号と不等号など、計算の仕方について学習します。低学年で習う、足し算、引き算や九九、ひっ算での計算の仕方、そろばんでの数の表し方などが該当します。
「図形」では、円、球、多角形、展開図など、さまざまな図形やその面積や体積の求め方について勉強します。具体的には、三角形、四角形の種類や並行や垂直について、面積や体積の単位や求め方などが、「図形」の項目に当てはまります。
「量」では長さ、重さ、時間や速さなど、長さや重さの単位や測定、時間や時刻、速さの求め方について学びます。キログラムやトン、ミリメートルやセンチメートルなどの重さや長さの単位や表記の仕方、角の大きさなどもこの項目になります。
「関数・統計」では平均や割合、グラフなど、数量の変化や関係、データの表し方について勉強します。具体的には百分率、比例と反比例、折れ線グラフや円グラフの見方・表し方などです。
数学とは
数学とは、数、量、図形など性質について研究する学問です。その数がどのような意味合いを持っているのか、世の中の現象を数を使ってどのように表せばよいのか学ぶ教科であり、答えを導き出すまでの過程を重要視されます。
学習内容
一般的に、中学校で学習する数学は「数と式」「図形」「関数」「データの活用」の4つの項目があります。
「数と式」は算数の学習項目である「数」「計算」に当たる内容です。正の数と負の数についてやその計算の仕方、方程式や平方根などを学習します。
「図形」は小学校で学習した「図形」の項目を土台とし、さらに平面図形や空間図形、図形の合同や相似、三平方の定理などについて学びます。
「関数」では、小学高学年で学習する比例と反比例に加え、一次関数、関数y=ax²についてそれぞれの表や式、グラフを勉強します。2次関数や連立方程式など複雑なものも多くなります。
「データの活用」では、データ分布の傾向や比較、標本調査といった事を学習します。四分位範囲や箱ひげ図など、データ分析の仕方や確率といった具体的なデータの活用方法を学ぶことになります。
さらに高校では、中学校で学習したことを基礎に「数学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」で方程式、不等式、微分積分、「数学A、B」で整数、確率、図形、数列についてより複雑なことを詳しく学習することになります。
中学数学と高校数学は何が違う?
問題がより複雑になる
高校の数学は、中学の数学に比べて問題が複雑になります。数の値が大きくなり、計算自体が難しくなるのはもちろん、公式を丸暗記し、値を代入して計算するだけでよかった中学数学に比べて、高校では複雑な問題が多くなるため本質的な理解が必要になります。
また、文章問題では問題文自体が複雑になってくるため、文章を読み解く基本的なスキルも必要になってきます。複雑な表現になり難しく感じてしまい、実際は解ける問題でも分からなくなってしまうのです。
覚える公式の量が増える
高校の数学では、中学の数学に比べて使用する公式の数が多くより複雑になります。公式を用いた計算だけでは簡単に解けない問題も登場するため、たくさんの公式の意味をしっかり理解しなければなりません。
また、式の形も複雑になり、公式の多さに加え「sin(サイン)、cos(コサイン)、tan(タンジェント)」のような見慣れない記号も登場するため、高校に入ると数学の授業についていけなくなる生徒も多くいるようです。
推論や証明の重要さが増す
高校の数学では、証明問題の比率が高くなります。「○○ならば」といった推論を重ねて、やっと正解にたどり着くような問題も多くなるため、一筋縄で「○○だから答えは△△」という訳にはいかなくなるのです。問題を解くのに計算だけでなく、推論する力が必要になります。
そのためには、数学の用語や公式、定理の意味をしっかりと理解し、公式と公式のつながりを考えながら学習することが大切です。そうすることで、複雑な証明問題も公式の暗記に頼ることなく、本質から理解して解くことができるようになります。
算数と数学の難易度の違い
小学校で習う算数よりも、中学校以降で習う数学の方が難しいといったイメージがある子どもは少なくないでしょう。
小学校で習う算数は簡単で、中学校から習う数学で難しくなると思われがちですが、一概にはそうとは言えません。中学入試などで出題される算数の問題を、理系の現役高校生が解けないという話もよく聞かれます。
数学を学ぶ目的
数学を学ぶ目的は、問題解決の方法と能力を養うためです。ある問題にぶつかったときに、物事を論理的に解釈して道筋をたてて解決していくこと、それは何も数学に限ったことではありません。
社会で起こるいろいろな問題を解決する能力を養うために、数学の論理や考え方は適しています。
エンジニアになりたい人などには数学は不可欠な知識です。また、物理に基づく工学系の職業を目指す人にとって、数学は切っても切り離せない学問になります。それ以外の職業でも、データの分析や活用の仕方など、仕事に必要なスキルは数学が基礎になっていることが多いです。
算数を得意にするポイント
正確に計算する
算数を得意にするためには、まず正確に計算する力が必要です。計算ミスをしてしまうと正確な答えにたどり着けないからです。
途中の計算式を省かない、間違った問題の見直しでは実際に手を動かして計算してみるなど、正確に計算する力をつける工夫をしてみましょう。
復習に力を入れる
算数では、予習より復習の方が大切です。算数は学習の積み重ねが大切な教科のため、一度分からなくなってしまうと取り返すことが難しくなってしまいます。習った事をその日のうちに復習し、同じような問題を何度か解くと、知識が定着し積みあがっていきます。
日常生活で算数を活用する
日常生活で算数を活用することも、算数が得意になるポイントです。買い物でのお金の計算、料理で重さをはかる、ケーキを同じ大きさに分けるなど、日常生活と算数は結び付いていることが多いです。
生活の中ではさまざまな算数が使われているため、日常から算数を学ぶ子どもは応用力が育まれるのです。
算数から数学にかわると苦手になってしまうのはなぜ?
小学校での算数は得意だったのに、中学校で習う数学は苦手になってしまったという子どもも多いのではないでしょうか。日常生活に結び付いていて、はっきりとした分かりやすい答えが多い算数に比べ、数学は文字式など抽象的な考えが必要となります。
xやaなどの文字が多く使われる数学では、算数のように具体的な数字で表せないため苦手と感じてしまうのです。
また、算数と数学では、目的や考え方が違うため、算数の問題を解く感覚で数学に取り組むと、苦手意識をもってしまうでしょう。論理的な思考を必要とするため、慣れない間は脳が疲労して「数学は苦手」だと判断してしまうのです。
算数と数学は違うものだと割り切って新しい気持ちで数学に取り組むことで、抵抗なく論理的な数学の考え方に移ることができます。
数学を苦手にしないためのポイント
分からないところを特定する
数学を苦手にしないためには、分からないところを特定することが大切です。
数学が苦手な子どもはよく、分からないところが分からないと言います。これは、積み重ね学習である数学によくあることです。分からなくなったら分かるところまでさかのぼって、そこからひとつひとつじっくり理解していくことが大切です。
公式を理解する
数学ではたくさんの公式を使用します。その公式を暗記するだけで問題が解けるのは中学くらいまでで、高校の数学になると、なぜそのような公式になるのかを把握し、公式と公式のつながりを理解する必要があります。
そうすることで、ひとつの公式を忘れてしまっても、それに関連する別の公式から導き出すことができ、暗記に頼る数学から卒業することができます。
計算力を上げる
算数でも言えることですが、計算力を上げることも数学の苦手克服につながります。計算力は、スポーツで例えると「体力」といえます。数学を支える基礎の部分のため、ぜひともしっかり上げておきたいところです。あわせて計算を見直す習慣もつけるようにしましょう。
まとめ
算数と数学の違いについて紹介しました。
算数と数学の違いは目的です。算数は「答えを正確に導き出すこと」、数学は「答えを導き出す過程を説明すること」で、それぞれの考え方を理解できれば、算数から数学にスムーズに移行することができます。
算数の場合「正確に計算する」「復習に力を入れる」「日常生活で算数を活用する」、数学の場合「分からないところを特定する」「公式を理解する」「計算力を上げる」、この点に注力することで苦手を避けることができるでしょう。
算数、数学の目的を理解して、効率的な学習方法を取り入れてください。